テミルカーノフ
先週から、読響に指揮者のテミルカーノフ氏がきています。
先週はラフマニノフのピアノ協奏曲2番、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」でした。ピアニストの河村尚子さんが本当に素晴らしい音色で弾いてくださいました。ピアノという楽器は、こうも弾く人によって音色が変わってしまうんだ、と改めて思いました。
ピアノ協奏曲ではコンサートマスターがA音叩いてチューニングしますが、バイオリニストが叩くピアノの音はたいていカツーンといやな音がしたりします。どんなにバイオリンが弾けても、ピアノはアマチュアですので、ただ叩いているのです。ピアノの打鍵に奥が深いノウハウやコツがあって、それを何十年もかけて訓練してピアニストになっていくわけで、アマチュアであるバイオリニストが良い音で弾けるはずもないのです。もちろんピアノがうまい人もいますので、綺麗な音で叩く人もいます。しかし、それでもピアニストの打鍵は別格です。
河村さんも大変な努力をして、今のソリストの地位を築いていると思うと、その努力に頭が下がります。
指揮者のテミルカーノフ氏は、本当に素晴らしく、本物の指揮者の一人です。20世紀の巨人の一人、ムラヴィンスキーの弟子で、今はサンクトペテルブルク・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督をされています。
氏は指揮棒を持たないのですが、指先の小さな動きでオーケストラをコントロールしてしまう姿は圧巻です。なぜ、こんな小さな動きで音が出るのか。ふつうの指揮者が形を真似たら、「もっとはっきり振ってくれ」と言われておしまいです。しかし氏は、内側にある音楽の情報量が半端ではありません。もう身体中から滲み出て、例え腕を動かしていなくても、音楽が伝わってきます。
プーチン大統領に楽員の給料を上げるよう直訴したりと、人並ならぬ人生を歩んでいるので、あそこまで凄い音楽が出るのでしょうか。とにかくすごい、の一言です。
今週はドボルザークの交響曲第8番とショスタコーヴィチの交響曲第1番の演奏会を5月17日19時サントリーホール、5月19日14時みなとみらいホールで行います。
もしお時間があれば、見に来て下さると幸いです。格別に素晴らしい音楽の時間をお約束します。
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